だったシリーズ11 麻雀

僕は雀士だった。
昔の学生は多かったと思うが、学生になれば定番が
パチンコ、麻雀、競馬に飲み会。たまにデート。
僕の高校で3年時ずっと一番を通した男が僕の師匠
&雀友である。彼は猿みたいな顔をしていて、頭の
いい男に見えない。話す話題も常識的である。だか
ら同じ世代の女の子に全くもてなかった。しかし、
もし彼の脳みそを覗く事ができたなら、大抵の女は
その才能に酔いしれただろう。僕は酔いしれた。
僕らはしばらく学生麻雀をやっていたが、飽き足ら
ず、町に出た。。町の麻雀は真剣勝負である。僕ら
はお金がない。だから負けると放り出される。ター
ゲットは主として自営業者。彼らはお金を持ってい
て自信家。やりやすい。やくざや芸能人、騎手など
いろんな人がいた。脅すためか腹巻にたっぷり札束
を押し込んでいる人もいた。この世界はお金を毟ら
れる人と奪う人とのせめぎ合いである。
僕らより頭のいいやつもいた。彼らは度胸と緻密な
頭脳があり大抵若い。
この連中に一人で立ち向かうのは勝負としては面白
いが危険である。僕らは組み麻雀を始めた。
話し言葉、パイの置き方、仕草全て細かくサインに
なっている。勿論詰め込みもやる。自分で高い手を
上がると疑われるので相方に上がらせる。麻雀放浪
記の世界だが知り合いとはやらない。
彼は大学院を出て就職してしばらくしてこの世を
去った。生きていれば僕の知ってる千億長者の一人
になっていたかも知れない。勿論麻雀で千億長者に
なれる事はない。僕も麻雀の世界から去った。だが、
魅惑的で厳しい世界だった。青春の無駄とは言いが
たいものがあると思う。

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