僕はホースライダーだった。 犬は服従、猫は気侭、では馬は?賢く世知に長けている。 軽井沢辺りで観光客用に引き馬をやっている牧場では、 朝、世話係が馬屋に近づくと一斉に係の方を向いて、 「はよ、くれ〜〜〜」と催促する。で、しばらくしてま た係が行くと今度は一斉に後を向いて知らん振りをする。 今度は仕事だから自分をパスしろのサイン。 よくじゃじゃ馬と言うが、馬はまさにその通り。高慢ち きな女性はあやつるのにそれ相応の何かがないと難しい と言われるが、馬も同じである。馬は札束でほっぺたた たいても無駄。乗馬技術が全て。賢いから、たてがみを 掴んで乗る時にもう乗り手の技量がわかるらしい。で、 下手と分かると言う事聞かない。全く無視。だらけた動 きで「言う事きかせてみたら」でも調教師さんが現れる と態度は一変。シャキとして途端に凛々しくなる。人間 はそういうつらい仕打ちを受けながら技術を磨いて行か なければならない。お互い認め合う関係になると、馬の 世話もとても楽しく、走る時も動物との一体感が生まれ、 オートバイで飛ばすのとは全く違った世界に踏み込める らしい。(残念ながら僕はそこまでは到達できなかった)
写真は軽井沢の牧場で馬を借りてギャロップを楽しもう とする所である。おばさんに、「この馬は跳ねる癖があ るの気をつけて」の言葉に怯んだ所である。僕は腰が 引けてて、馬は「あんた誰よ?」見たいな顔してる。 これをあやつる取って置きの秘訣を僕は持っていた。つ まり邪道であるが、鐙でお腹をぎりぎりやる。すると嫌 がって動き出すのだ。さすらいライダーの知恵である。 |